Hacca no Nacca
シナリオ背景
◆シナリオ背景
有栖川悠人は自分のみる夢に他人を招いてしまうという能力を持っていた。
それが発生する条件は彼が寂しいと感じるときで頻繁に起きるようなものではない。
また本来無害であり、他人に影響を与えたりましてや殺害できるようなものではなかった。
ヒプノスに出会うまでは。
ヒプノスに魅入られ能力が変形し、夢の中に閉じ込める悪夢の温床になった。
一度招かれたものは死ぬまで脱出することができない。
それは神格や神話生物もちろん、ヒプノス自身にもあてはまった。
有栖川悠人の容態が悪くなるまでは、彼の生家に遺されたぬいぐるみを媒介にして家人を夢に招いていた。
彼の生家だからか、家人に与える影響は大きく、子供や老人くらいの大きさなら肉体ごと夢の中に引きずり込むことも可能であった。
肉体ごと夢の中に引きずり込まれた人間が夢の世界で死ぬと、現実世界では行方不明扱いとなった。
しかし、有栖川悠人の容態が悪化し、いつ死んでもおかしくない状態になった。
宿主である彼が死ねば、神格と言えど、どうなるのかはわからない。
危機感を覚えたヒプノスは自らの力を使って、無差別に夢の中へ人を招いた。
ヒプノスは招いた人が脱出手段を導き出すことを望んでいる。
他の神話生物たちはあてはめられた配役通りに行動している。
夢の中で三度死ぬと、まず対象者が夢の中で発狂死し、次に現実世界の対象者の腹を割いてイゴーロナクの腕が生え、最後にマザーグースの一文を遺していく。
連続猟奇殺人事件が発生しはじめた時期は有栖川悠人の容態が悪くなり、余命が1カ月になった頃からだ。
有栖川悠人の夢は彼が一番好きな不思議の国のアリスとマザーグースで構築されている。
◆夢の世界『Wonderland』
ヒプノスによって変質されるまでは、王様である有栖川悠人と女王の白い少女の二人を中心にいろんなモノが訪れていた。かつては王様がこうであってほしいと願ったことを女王様は叶えようと一緒に楽しく過ごしていた。
その頃の平和を知っているのは、三月ウサギであるグールと芋虫のドールだけである。
この二人以外の住人は、女王となったイゴーロナクや後から来たジャバウォックである忌まわしき狩人の餌となった。
この二人は、ヒプノスが来てから外に出ることができなくなったことや王様と女王様の様子が以前と大きく異なり、おかしいことを知っている。
◆赤蒸市
赤蒸市は市の真ん中に三須賀川が流れる田舎と都市を足して2で割ったような街である。
田舎に大都市直通の路線を通し、駅前には三須賀大学と赤蒸市大病院や商店街があり、夜もにぎわっている。
川を挟んで反対側にある山は切り開かれ、ほとんどが住宅街になっている。
かつては農業地帯で山の一部を利用して農業を受け継ぎ、赤蒸市名産葡萄を生産している。
土地柄は古いものの文明開化のあおりを受けたような明治大正時代に建てられたと思わせる西洋建築や日本古来の屋敷が混在している。
この地域では、三須賀川を挟んで駅がある繁華街・赤蒸市の南側を「三須賀」と呼ばれ、川を挟んで反対の住宅街の多い山の方を「川向う」と呼ばれている。
◆赤蒸市猟奇殺人事件
日本のトレンドには必ず入り、どのテレビ局でもとりあげられている巷を騒がす殺人事件である。
赤蒸市で騒がれている連続猟奇殺人事件は「三須賀」と「川向う」の広い範囲で、3日~7日間隔で殺人事件が発生している。
犯行は夜~夜明けにかけて、老若男女・同居人の有無かかわらず1人だけを殺されている。
警察の見解はなんらかの方法で悲鳴を家人に聞かせずに就寝中の被害者の腹部を破壊し殺害しているというものだ。
1カ月の間で7人も亡くなっている。
以下、警察関係者および検視官が知っている情報である。
被害者は皆一様に寝台で寝ており、胸から下腹部にかけての裂傷が激しい。
また、わざわざ花を象るように肉を寄せ集めており、サイコパスの犯行である可能性が極めて高いと考えられている。
そして、どの被害者にもあるマザーグースの一文だけが残されているのである。
きれいな花はかごの中に
その花かごはベッドの上に
そのベッドは寝室の中
その寝室は家の中
その家は草の茂った庭の中
その庭は広い通りの先に
その通りは賑やかな町の中
その町は都市の中にある
その都市はこの国の中
ここにその王国の鍵がある
◆簡易時系列
有栖川実母と実父、離婚
9年前
有栖川実父と神野めぐみ
事実婚
7年前
有栖川悠人の夢にヒプノスが招かれる。
有栖川実父、死亡。
有栖川悠人の脳に腫瘍発見。
神野めぐみ、心労による入院。
有栖川一家、屋敷を売却。
5年前
向井一家、屋敷を買収
1年前
半年前
向井息子、失踪
5か月前
向井夫妻、入院
向井夫妻、屋敷を売却
1か月前
連続猟奇殺人事件発生
家主、屋敷を買収
現在
探索者は家主に依頼される。